東京オリンピックに波紋を広げるロシアドーピング問題

2016年8月4日

国際オリンピック委員会(IOC)は7月24日、国ぐるみのドーピング使用が指摘されたロシアの選手について、厳しい条件付きでリオデジャネイロ五輪への出場を認めると決定した。

二転三転するこのロシアのドーピング問題とは一体何なのだろうか。

 

ドーピングとは何か

筋肉を増やしたり、持久力を高めたりする薬物を使って記録や成績の向上をめざす行為であり、選手の健康を害することにつながる。その後遺症に長く悩まされたり、最悪の場合は命を落とすこともある。

ドーピング

ドーピングはスポーツ選手が大前提としている「フェアプレーの精神」に反する行為であり、単に「ズルをした」という事では済まされない行為だ。

過去には、ソウルオリンピック陸上100mスプリントで勝ったベン・ジョンソン(カナダ)が筋肉増強剤使用で、記録と金メダルを剥奪された。

 

WADAチームが暴いたロシアの不正

WADA(世界反ドーピング機関)によると、ロシアは2012年のロンドンオリンピックと2014年のソチオリンピックを含む2011年後半から2015年8月までの4年間、五輪競技の大半で国家主導のドーピングが計画、実行されたと発表。

選手はドーピングする前に薬物反応の無い尿サンプルをロシア当局に提出し、当局はそのサンプルを冷凍保存。また、ロシア連邦保安庁(FSB)が本来は開封できない尿サンプルの容器を開けて検体をすり替える方法を開発し、大会時、ドーピング機関が尿サンプルを保存している研究所に、水道管工事を装ったFSBの諜報員がすり替えていた。

不良国家ロシア

この図を見て分かる通り、一個人ができる範囲を超えており、完全な組織ぐるみで行ったことがよく分かる。

WADAが国際オリンピック員会(IOC)と国際パラリンピック委員会(IPC)に、ブラジル・リオオリンピックにロシアオリンピック委員会が登録した選手全員のエントリー禁止を検討すべきだと勧告したのも納得がいく。

 

ロシアの居直り体質

プーチン大統領は「スポーツへの干渉という、危険な政治的報復を目の当たりにしている」と述べ、「干渉の形は違えど、目的は同じだ。スポーツを地政学的圧力の道具に利用している」とよくわからない理由を用い、ドーピング問題を政治問題にすり替えようとしている。

つまり、「国ぐるみのドーピング問題よりも、その疑惑を利用してロシアに圧力をかけるのは間違いだ」という目線ずらしをしている。

不良国家ロシア

1979年の旧ソ連によるアフガニスタン侵攻を受けて西欧諸国が1980年のモスクワオリンピックをボイコットしたことや、その報復として1984年のロサンゼルスオリンピックで旧ソ連を含む東欧諸国がボイコットしたことに言及したのだが、オリンピックは政治利用してはいけないのが大前提であるのにも関わらず、アメリカとロシアという二大国はそれを政治利用してきた過去がある。

問題を再度特定してみよう。

WADA 「ロシアの国家ぐるみでのドーピングは全選手が疑惑の対象だ、エントリを見直すべき」

プーチン 「この事にこれ以上干渉するなら相応の報復をする。ロシアに圧力をかけるな」

どうだろうか?ロシアのプーチンが言っている事は北朝鮮のそれと大して変わらない事がよく分かる。ロシアはソビエト連邦崩壊後、民主化された国だが、実際には社会主義時代を引きずっている者が多いのだろう。

現にプーチン大統領は元KGBのエージェントであることから、その時の教育や価値観が抜けていないのは想像に容易い。

 

IOCの裁定には世界が落胆した

国際オリンピック委員会(IOC)は24日、電話による緊急理事会を開き、国家主導のドーピング問題が発覚したロシアをリオ五輪から全面除外せずに各競技を統括する国際連盟(国際競技団体)に判断を委ねることを決定したのだが、これには世界のスポーツ関係者が「責任の丸投げ」と非難した。

ロシアへの批判が強まる中、反ドーピングをIOCとしても大国に断固たる処置を下すことで全世界へのアピールにつながると踏んでいたはずが、大方の予想に反して逃げの姿勢で責任回避したのだから落胆は大きい。

IOC裁定

IOC内部には、「ロシア不参加を決めたら、バックに付くスポンサーや人権保護団体などから訴訟を起こされて新たに大掛かりな問題が引き起こるかもしれない」などといった懸念材料を指摘する声があったのも事実。つまり、オリンピックはスポンサーと厄介な人権保護団体に操られている大会というイメージを作ってしまった。

しかし、25日、IOCの丸投げに屈せず、国際水泳連盟(FINA)がロシアの水泳競技選手7人のリオ五輪出場禁止を発表。これには称賛の声が上がっている。

 

東京オリンピックはどうなるのか

グレーゾーンにいるロシア選手がオリンピックの舞台で活躍すればするほど五輪のイメージは悪くなり、ひいては五輪の商品価値も大きく下がるのは火を見るより明らかであり、彼らがたとえ金メダルをとったとしても満額で称賛することはできないし、負けた選手も納得いかないだろう。

前述したとおり、近代オリンピックはスポンサーの力が非常に強い。しかし、そのスポンサーはクリーンなオリンピックに協賛することで、企業イメージを高めようと考えている。

しかし、オリンピックに協賛することで不正に加担していると見られたのでは多額のスポンサー料を支払う意味が無い。

東京オリンピック

このままではスポンサーのオリンピック離れが進むのは考えられない話ではなく、一番その不利益を被るのは、2020年に開催される東京オリンピックという可能性もある。

不正には断固たる姿勢を貫き、問題のすり替えをしようとしているロシアの妄言に耳を貸さない事が重要といえる。